朝でもうだるような暑さになってきた7月下旬、他の人よりも汗をかきながら出社すると TANK-san より1枚の紙を渡されました。 Boss かららしい。

「to PAN 8月14日よりBonneville 出張を命ず」

5月に幸運にもエル ミラージュ・ドライ レーク レースを撮影するチャンスがあり、貴重な体験をさせてもらいましたが、まさか Bonneville に行けるとは!! 今年の Bonneville Speedweekは記念すべき60回目だという事、記念ポスターには Fred の Streamliner が選ばれ、Chico-san の '27 Modified T-LSRもペイントを終え挑戦する事は知っていましたが、その時までは「遠い所で凄い事が行われるんだなぁ」と思っていました。今回も僕がBonneville に行って見た事・聞いた事・体当たりで体感した事を日記形式でお送りしようと思います。もちろん百人いれば百通りの Bonneville があると思いますので前に行った事がある人で「そうじゃない」と思う人がいるのも当然ですし、Bonneville に関係の無い話に脱線する事も多々ありますが、どうぞ最後までよろしくお願いします!!

8月14日(木)
日本がOBON Weekに突入した 8月14日、遂に出発の日が来ました。今回は8泊10日と前回と比べ長期なので持てるだけの着替えと帽子、後はパスポートより大切なカメラのみ。MOONEYES Area-1で見送ってくれた Boss を始め Area-1 スタッフの皆さんに挨拶をし、遂に出発です。
成田空港行きのバスが出るYCATまでは、TANK-san に送って頂きました。毎年、僕が所属している MOON SPACE Agency では、この時期カタログ制作等で忙しいのですが、「心配するな」的なポーズで見送ってくれました。今回はエル ミラージュの時と違い、一人きりでの出国になりましたが、特に不安も感じず飛行機に乗り込みました。それにしてもお盆時期は、飛行機も込んでいます。中央の席で元気いっぱいの小学生チームに囲まれほぼ不眠でLAXに到着しました。
ここまでは良かったです。入国審査や出口では、前回一言も言葉を発せずパス出来たのに今回はやたら色々聞かれます。英語がほとんどわからない僕は聞き取れない質問には笑顔で「Yes!」を連発です。いつのまにか嫌な雰囲気になっています。真顔で出口とは違う方向を指差されあそこへ行けとジェスチャーで伝えられました。「英語を勉強していれば…」と思いながら指示された方向に進んでいくとそこではスーツケースの中身を全て出され徹底的に調べられている空間に着きました。英語がわからない事を知った担当の人がボードに漢字が書かれた物を指差し確認するのでそんな物は持ってないと今度は「No!」を連発です。どうやら僕は、何でもかんでも「Yes」と言っていたのでスーツケースに肉や果物や持ってきてはいけない物をいれている事になっていたようです。ようやく解放されました。迎えに来てくれていた Chico-san には「顔が怪しいから留められたんだ」とか馬鹿にされましたが、本当に無事入国出来てよかった…。

MOONEYES USA に到着。前回の出張で、とてもお世話になったDoug が忙しそうに作業しています。僕に気付くと笑顔で出迎えてくれました。昼ご飯はChico-san とDoug と一緒に食べに行きましたがその時、Dougから「お前のエルミラージュ レポート良かったぞ」と。 まさか見てくれているとは思っていなかったので本当に心の底から嬉しかった。
出発は土曜日との事なので今日は、Machine Shop 向かいのガレージの中、 Bonnevilleで販売する商品の集め作業を行いました。この時、Boss のブログでも時々登場する Yoshi-san に初めてお会いしました。数日後にはまるで何年も前から知っているかのように僕のキャラを把握しいい意味でいじっていただきましたがこの時はソフトな印象の方でした。
Yoshi-sanに教えて頂きながら販売用の T-Shirts、Auto Parts を集め、MOONEYES Trailer に積み込んでいきます。前回の出張時にはほとんどガレージ内にいる事はありませんでしたが、ラジオの流れるガレージ内も雰囲気がありかっこいいです。

日が沈み始め、商品集めが一段落しても Machine Shop では黙々と Bonneville に向けての準備が続いています。これまた前回お世話になったTimも登場!! 皆本当に楽しそうです。出来上がった物を組み立てているというよりは「無いものは作る」という感じで、ただただ「凄いな…」と。

「先にモーテルに送ろうか」と Chico-sanが気にかけてくれましたが作業を中断させるのは悪いので「大丈夫です」と答えていました。が、日本を出発してからほぼ不眠だったのでいつのまにか Machine Shop の外で意識を失っていたようです。MOONEYES USA を出てモーテルに向かったのは夜中の1時半。色々な事があった長い 8月14日が終わりました。

8月15日(金)
MOONEYES USA に着くと早速準備を始めています。出発は明日、準備にあてられるのは今日一日しかありません。日も傾き始めた頃ようやく全てのボディーパネルの取り付けも終わり、'27 Modified T-LSR が完成しました。牽引するトレーラーもベアメタルですが完成です。

'27 Modified T-LSRを見て思わず「かっこいい…」と唸るように声を出してしまったら隣にいた Doug が「だろー」的な笑顔でニヤリとしています。Bonneville で必要な工具等を VANに積み、'27 Modified T-LSR もトレーラーに。準備も終わり、和やかな雰囲気の中、外にあった Dragster をChico-san が片付け始めた時予期せぬ事が。Chico-san が!! どう見ても飛脚にしか見えません。皆爆笑です。最後はぴったりの帽子まで被せられ Chico-san もノリノリで Machine Shop に消えて行きました。さぁ、明日は遂に Bonneville に向けて出発です!!

8月16日(土)
遂に今日は、Bonneville に移動する日です。Bonneville がCaliforniaからどれくらい離れているのかは、「車で12時間ぐらい」と聞いていましたが、車で12時間も移動した事が今までありませんので見当もつきません。遠い事は確かです。僕は Yoshi-san が Drive するChevrolet Silverado 3500に載せて頂きます。それにしてもSilverado 3500 だけでも大きいのに、MOONEYES Trailer を牽引していくので相当な長さです。

 
朝7時、MOONEYES USA を出発!! 何車線もあるFreeway から2車線、3車線の Freeway になる頃には風景もだいぶ変わり始めてきます。
ただ、ただ景色を眺めていると突然前方から弾むように見覚えのあるタイヤが飛んできて視界から消えていきました。「あれ?今のタイヤ、うちのトレーラーのタイヤじゃ?」どうやら '27 Modified T-LSR を積んでいるトレーラーの1番前で固定されていたスペア タイヤが外れてしまったようです。
'27 Modified T-LSR や他の車に当たらなくて良かった。飛んで行ったタイヤも後からきた Willy と Kenny が救出し再出発。それにしても凄い景色です。日本じゃ見る事が出来ないような絶景が続きます。この日何回「スゲェ−景色だ…」と言ったかわかりません。
出発から4時間が経つ頃、突如前方にカジノが併設された大きなホテルが見えてきます。ここからネヴァダ州です。「州が変わると国が変わったかのように景色が変わる」とYoshi-sanに教えてもらいましたが、本当に景色が変わりました。そこから1時間もするとラスベガス。物凄く暑いです。
給油休憩・昼食をラスベガスでとり、再出発。この時、Chevrolet Silveradoのクーラーが壊れている事に気付きます。気付くと余計暑く感じ始めました。ラスベガスを過ぎると人が全く住んでいないような荒涼とした世界が続きます。ただただ自然の凄さに感動の時間が過ぎて行きます。
どれくらい走ったのでしょうか。日も傾き始めた頃、前を走るトレーラーが止まりました。遂に宿泊地 Wendover に到着しました! 時刻は夜7時、12時間かけて640マイルの距離を移動して来ました。ん?この景色、本で以前に見た事あります。様々なペイントされた中に大きく一番目立って”LARSEN” と崖にペイントされています。感無量です。
チェックイン後、明日に向けて Bonneville Speedway の入り口、”End of Road”の地点まで'27 Modified T-LSRを置きに行くというので迷わずついて行きました。”Bonneville Speedway”の道路標識に表示されている距離が少なくなる程周りの世界が塩の白い世界になっていきます。雪国を走っているような不思議な感覚です。
End of Road に到着。月も出始め、周りの景色に見とれていると Yoshi-san が「塩の所に降りた?硬くてカチコチだよ」と言うので夢中で走り始め、勢いをつけそのままジャンプして Salt Flat への第一歩を…グッチャグチャでした。滑って転びそうになりましたがいい思い出となりました。

一旦モーテルに戻り、食事をとってから近くのカジノの駐車場に集まっていた Hot Rod を見学に行きました。この時は、この日だけ特別なイベントが行われていると思っていましたが、Bonneville Speedweek 開催中は毎日、この場所に Hot Rod が集まり、大変な賑わいを見せています。全く怖い雰囲気もなく次から次へと駐車場に Hot Rod が集まる光景を目の当たりにし、心底「ここは天国だ…」と感じました。
ちなみにこの場所を交差している道路がネヴァダ州とユタ州の州境。道路1本でこんなに変わります。ネヴァダ州とユタ州の時差は1時間。モーテルはここから歩いて10分かかりませんが、例えばカジノの駐車場に11時までいて10分歩いてユタ州のモーテルに着くと時刻は12時10分となります。寝不足に注意です。
8月17日(日)
朝4時出発。まだ太陽も出てなく、月明かりのみの中、朝7時に解放される Bonneville Salt Flats SpeedwayをEnd of Road で待ちます。うっすら空が明るくなってきました。
物凄く神秘的な世界に感動です。6時半を過ぎた頃、順番待ちをしている前方の方から歓声が聞こえ、一斉に車列が動き始めます。遂に Bonneville Salt Flats の中に入りました!! 一斉にインスペクションが行われるオフィシャルのブースやピットエリアに向けて走って行きます。真っ白です。どこまでも真っ平です。「スゲェー」の一言、いや連発です。
ピットエリアに着き、車から降り立ちます。地面はこんな感じです。エル・ミラージュはカッチコチという印象でしたが、 Bonneville は、硬いアイスバーンの上にみぞれ雪が積もったような感じ。ツルツル滑るような地面ではありません。やっぱり手に取って舐めていました。当たり前ですが塩です、しかも苦味があるくらい濃いです。
僕は、すぐインスペクション(車検)が行われているオフィシャルのエリアに移動します。朝5時前から並んでいたので一番最初にインスペクションを受ける事が出来、問題も無くパスする事が出来ました。僕も読めない英文書にサインをし、ピットパスを頂きました。'27 Modified T-LSR をピットに移動し、整備をしたら本日はレースも無いので、やるべき事は終了となります。
まだ朝9時半です。だったらもっとゆっくりして遅くにモーテルを出てくればと思いますが、後でわかりました。500台近くのレース車輌が一斉に今日インスペクションを受けるので、こんな状態となります。インスペクション待ちの渋滞は終日無くなる事は無く、時間切れで次の日まで続く事になります。早起きは三文の得です!
さぁ僕はこの時間が来るのを待っていました。朝早くから「あ〜早く '27 Modified T-LSR を撮影したい」とムズムズ・モジモジしていました。太陽が真上に来て、影が短くなったと思ったら、皆さんに「ここで!!」という場所まで押してもらって、'27 Modified T-LSR の撮影開始です。脚立に登り、記念写真を撮っている時、あまりの景色の素晴らしさと皆さんの笑顔に感動です。撮影も終わり、自転車をお借りしてピットエリアを廻ってみる事にしました。
それにしても…、暑さはエル・ミラージュで体感しているのでポケットに水をねじこんでいれば耐えられますが、眩しい!! 眩しすぎます。太陽の光りを全て地面で反射して身体で受けているのでまともに目を開けられません。カメラで撮影した画像を確認しようと思っても手をかざして覗かないと眩しくて何を撮ったのかわかりません。こんな感覚は始めてです。あっという間に真っ赤に焼けました。ピットエリアも街のように大きく、前回のように歩いてグルグル廻る事は相当の気合いがないと無理そうです。

夕方には、Fred's Wife Marilou と Candy も現地に到着。 前回、エル・ミラージュで Marilou とお会いした時もそうでしたが、今回も Marilou は僕の異常な日焼け具合を心配しています。Candy も現地に滞在中、何かと僕の事を気にかけてくれ、日焼け対策や、洗濯まで色々お世話になりました。二人とも英語のわからない僕に対して、いつも笑顔で接してくれた事が嬉しくとても感謝しています。こうして Bonneville Salt Flats の初日は、あっという間に時間が経ち、夕方6時過ぎに帰路につきました。

8月18日(月)
今日から遂にレースが始まります。Chico-san が Drive する '27 Modified T-LSR はVintage Category の Blown Fuel Modified Roadster Class、これまでの記録は、2006年にLinsmeyer Motorsports がレコードした181.709 mph。どんな記録が出るか期待して興奮し目が覚めました。寝起きはいいです。夜明けと共にBonneville Salt Flats に入りピットで整備、Trailer での Shop の準備を行った後、遂にスタート地点までプッシュトラックに押されながらゆっくり進んで行きます。

現地でオフィシャルの方に頂いたコースプランがこちら。


これだけ見るとピットからスタート地点まで近いようにみえますが実際は5km以上はあるので移動だけでも結構な時間がかかります。今日走行するコースはショート コース(3mile)。先にスタート地点に行き、'27 Modified T-LSR の到着を待ちます。朝日の中、ゆっくりと近付いてくる姿をファインダー超しに見ていると「ようやく始まる」という気持ちが大きくなり、なぜか膝がガクガクしてくるのがわかります。

9時よりドライバーズ ミーティングが始まり、国歌斉唱と共に解散。いよいよ60回目となる Bonneville Speedweek がスタートします。

最初にこの場所で Speedweek が開催されたのが 1949年8月。今日まで数えきれない程の人がこの地を訪れ、記録が数えきれない程が塗り替えられ、ホット ロッディングの歴史に重要な意味を持つストーリーが数えきれない程生まれた場所に僕が立っている事が信じられません。僕が、Speedweek の存在を知ったのは、1999年。雑誌で50回目の Speedweek を特集している記事を読んでこの世界の事を知りました。これから始まる全ての事を目に焼きつけようと強く思いショート コースのスタートラインに戻ります。1台、又1台とスタートラインから何処までもフラットで真っ白な世界に消えて行きます。


Chico-san のスタートが近付いてきました。


AM11:41
'27 Modified T-LSR 1st Start (Short Course) ある程度、スタートラインから離れて見ていましたが、プッシュ トラックに押され一瞬で僕の目の前を通り過ぎて行きました。
僕もスタートラインに戻ろうと、立ち上がり小さく消えて行く Chico-san から目を離そうとした時、点のように小さくなったマシンが左に一回動き、そのままコース右側に外れていくのが見えました。「スピンだ!!」居てもたってもいられず、近くにいたZap-sanに「行ってもいいんですかね?」と聞いていました。横転してるようには見えないけど怪我は無いだろうか?コース脇を走り始めていました。多分というか絶対やってはいけない事だと思います。が、いくら走っても Chico-san の姿が近付きません。バテバテです。結局Chico-san がプッシュ トラックに押されこちらに向かって来てようやく目の前まで来ました。 「怪我は無いですか?」Chico-san は首を振り、親指を後ろに差し「早くトラックに乗れ」 と合図をします。良かった…。
とりあえずトラックに乗ろうと思いましたが、あいにくトラックには定員ギリギリまで乗っています。「ピットまで歩いて帰るんでいいっす」と伝え歩いて戻る事にしました。Chico-sanに怪我も無いし、ゆっくり歩いて戻りながら近くを通った車でも撮影しようと思いながら歩き始めました。
それにしても広い…。歩いて移動する人間なんていません。ここで歩いて移動するのは少し無謀かもしれません。しばらく歩いていると一台の車が僕の所でとまり、知らない人が「乗ってけ」的なジェスチャーで僕を呼んでいます。
「助かった」車のなかで何度も「Thank you!」を連発しました。日本から来た事、ここに来る事は夢だった事、全てが最高だと知っている単語を並べて必死で伝え彼と笑顔で握手をして別れましたが、彼とは滞在中、色々な場所で再会し何度も彼は笑顔で僕にこう言いました「Don't walk!!」

'27 Modified T-LSR はスピンしたので再度、インスペクションを受け、ピットに戻ってきました。スピン直後なのでなかなか話しかけづらく離れた所にいると Chico-san がこちらに近付いてきて「日焼け大丈夫か?」と聞いてきました。「いやいやChico-san の方こそ大丈夫ですか?」と聞こうとしましたが、何かニヤニヤして企んでいる雰囲気です。気付くのが一瞬遅く冷水を頭からかけられました。ゲラゲラ笑っているのを見て安心しました。 昼食後、整備を終え、本日2回目のレースの為、スタートラインに向かいます。


PM4:46
'27 Modified T-LSR 2nd Start (Short Course) 「今度こそ!! 頑張れ Chico-san!!」と思いながらスタート地点でスタートを確認し、今回は車でピットに戻ります。「まだか、まだか」とピットで待っていると、プッシュ トラックに押され '27 Modified T-LSR が戻ってきました。 明らかに雰囲気が暗いのと慌ただしいのが分かります。どうやら走行中に故障したようです。Doug と Willie が急いで修理を始めます。よく見ると右側のサイド パネルがベコベコに歪んでいます。後から聞くとブロアーのバースト プレートという部品がこのような形に壊れその衝撃でサイド パネルが歪んだそうです。ただこの部品はブローする前のセーフティーの為の部品だそうなので交換して作業を終了し、Bonneville Salt Flats を後にしました。


想像もしていなかった1日目の結果となり、Chico-san もやはり落ち込んでいたようです。バーガーショップで夕食を皆でとっている時、Doug が Chico-san を励ましていた事を帰りの車の中で聞きました。「そう簡単にはうまくはいかない。こういう時もあるさ」と車内で話し、モーテルに到着。


ここで僕はとんでもない失態を…。一回荷物を降ろし、着替えを取りにもう一度 Van に戻りました。Vanの中で着替えを取りドアを閉めます。ん?鍵どうしたっけ。色々人に聞いても持っていない。鍵はがっちりかかってます。車の中を覗くと僕の荷物のそばにしっかり鍵が見えます。インロックをやってしまいました…。

皆さんに平謝りです。

Chico-san は「会社にスペアキーがあるなー」と言い、Yoshi-san は「じゃ今からこいつに取りに行かせてー」と冗談で話し、Willie は「大きな岩でガラスを割れ」とジェスチャー付きでアドバイスしてくれます。「HARAKIRI!!」「全裸でプール」とか聞こえてくる中、モーテルの駐車場で、日本式の謝罪 土下座です。1時間後、トリプルエーが駆け付けてくれ無事開けていただきました。それからはネタのように何度も「おい、PAN お前に貸した鍵どうした?」といじられ続け…。「Chico-sanに笑顔が戻って良かったな」とYoshi-san に言われましたが、本当にご迷惑おかけしましたすみません…。


8月19日(火) レース二日目の朝を迎えました。相変わらずの快晴。朝は気温も上がっていない為、気持ちがいいです。昨日と同じようにピットにてTrailerのShop 準備、整備を行い、本日もショート コースのスタート ラインに向かいます。順番待ちの列に着くと昨日と同じくスタートライン付近を歩き廻りました。

AM10:46
'27 Modified T-LSR 3rd Run Start (Short Course) 撮影後、すぐに車に戻り、ピットに戻ります。知識がある訳でも詳しい訳でもありませんが、調子良くギアも繋がってどんどん加速していったような気がしたので「まだですかね?」と帰りを待ちます。帰ってきました。この笑顔です。あ〜とてもわかりやすい。聞くまでもなく良い結果だったんでしょう。記録は181.499mph。このクラスのレコードが181.709mph なのであと 1mph です。「次はいける!!」雰囲気も皆明るくすぐ次のレースの準備が始まりました。

PM2:22
'27 Modified T-LSR 4th Run Start (Short Course) 今までで一番遠い所まで歩いて Chico-san のスタートを待ちます。「 Chico-sanもっと速く!!」 ピットに戻り、帰りを待ちます。なかなか帰ってきません。Candy の携帯が鳴り、誰かと話しています。ピットのテントを畳み、オフィシャルのエリア近くまで持ってくるようにとの事。この時は、僕はまだ全く結果を知りません。
“IMPOUND” と書かれたエリアの入り口を入り、中にいるChico-san に記録を聞きます。記録は184.204mph。レコード達成!! と喜んでいましたが、正式にレコードと認定されるには明日、同じショート コースを走り(レコード ラン)、明日の記録との平均が現在のレコードを超えれば遂にレコード達成となるそうです。

明日レコードに挑戦するここに集まった車は、IMPOUNDと呼ばれピットには戻れずここに保管されます。 とにかく明日が勝負という事だけはわかりました。でも今日以上にプレッシャーがかかるんだろうなと話していると Willie が「だから明日のChico はガクガクだぜー!」とおどけています。IMPOUND エリアで整備を済ませ、Bonneville Salt Flats を後にしました。
8月20日(水)
まだ、太陽も出ていない朝6時、車のライトを頼りに着々と準備を行い7時からのレースに臨みます。それにしても、こんなに昨日レコードを超えた車が居たのかと思うくらいIMPOUND エリアには車、Motorcycle が沢山います。「ここにいる全てのチームがワールドレコードを達成すればいい」と感じました。朝7時、日の出と共にレースがスタートします!!

AM8:07
'27 Modified T-LSR 5th Run Start (Short Course) 今回はスタート後、急いでEmergency Areaまで連れていってもらいました。今まで僕がいた世界は、スタートライン付近のみだったので初めてです。ひたすら走り、ようやく'27 Modified T-LSRを見つけました!

この時、どれくらいの記録が出たのか誰一人わかりませんが Chico-san の笑顔を見ればわかります。「昨日よりも良かった。ひょっとすると、200mph超えたかもしれない!! 」皆で記念撮影です。リターンロードの途中でオフィシャルから今回の記録が書かれたシートをもらいます。Doug が先に降りてシートを受け取ります。僕らも続いて車を降ります。Doug が「PAN こっちに廻れ!!」とChico-san の前を指差します。「何が起きたんだ?」とChico-san はシートを見たがっています。Doug がゆっくりシートを渡します。記録は196.458mph 昨日の記録との平均は190.331mphワールド レコード達成です!! 皆で喜びを分かち合います!! 本当にこの瞬間に立ち会えて良かった!!

こうなると「次は、ロング コースで200mph 超えだ!!」


PM5:21
'27 Modified T-LSR 6th Run Start (Long Course) 今回、初めてプッシュトラックに乗せてもらい違う角度からレースを見る事が出来ました。

記録は、195.420mph 。200mph を達成する事は出来ませんでしたが、今日作った190.331mph のレコードを超えているので再び IMPOUND エリアで整備をし、次の日のレコード ランに備えます。明日、レースが終わり次第 California に帰るので泣いても笑っても明日が最終日です。


8月21日(木)
Bonneville Salt Flats最後の朝です。昨日と同じく、IMPOUND エリアで整備を済ませ、Long Course のスタートラインに向かいます。1台、又1台と朝日に方向にスタートしていき、後何台かで '27 Modified T-LSR のスタートとなる時、周りが騒がしくなってきました。オフィシャルの車が一斉にEmergency Area に向かって走って行きます。Emergency Area付近で事故があったそうでレースは一時中断となりました。厳しい安全基準があっても、あれだけのスピードが出ているのだから事故が起きたら、ひとたまりもないはず。昨年の Speedweek では亡くなった方もいたそうです。色々考えさせられる時間を過ごしていたらレース再開となりました。

AM8:30
'27 Modified T-LSR 7th Run Start (Long Course) 先程の事故の事もあったので「気をつけて!! Chico-san」と思いながら、スタートを撮影しました。ピットに戻り、後片付けをしていると帰ってきました。顔をみれば何となくわかります。200mph はオーバー出来なかったようです。記録は192.274mph。残念ながら200mphは達成出来ませんでしたが、昨日の記録との平均が193.847mph となったので昨日のワールド レコードを塗り替える快挙です!! それでも昨日のような興奮した雰囲気ではなく黙々と帰りの支度をしています。


「じゃー最後に記念写真撮りましょう!!」
僕の初めての Bonneville Speedweek が終わりました。帰り道、景色を眺めながらこの数日の事を思い返します。前回のエル・ミラージュ出張でのレポートで” 何度もいろいろな事に感動し、生きる為に信じられないくらいの水を飲み、数えきれない程の車やMotorcycleを見て、たくさんの人に出会い、数えきれない程握手をしました。” 今回も全くその通りいやそれ以上です。目の前で起こる全ての事に感動し、朝起きてから寝るまで Hot Rod 好きには天国と思える日々を過ごしました。僕がアメリカで出会った人達は、本当に親切な人ばかりで今回も色々な人に助けられ、最高の思い出を作る事が出来ました。

Chico-san の'27 Modified T-LSR が200mph を達成するのは次かもしれない!! ランド スピード レースの世界をもっと日本の方に見て聞いて体感してほしい!! だから僕が体験した事を全て伝えたいと思い長々と書いてしまいました。最後まで読んでくれてありがとうございます。本当に楽しい旅でした。


カリフォルニアに帰る車中

「Don't Sleep!!!!!」 疲れてウトウトしていたら一気に車の窓が全開になって暴風の中、Willie が僕に大声で言う。

「お前は寝れるけど、オレは運転があるから寝れない!!だから寝るなー。クッキー食うか?」

「…Thank you!!」

「お前英語喋れるじゃないか!!」Kennyが僕に笑いながら言う。僕も大声で笑う。二人ともラジオから流れる音楽に合わせて大声で歌い、全身を使って踊っている。二人ともタフだなー。そうだ、まだ僕のBonneville の旅は終わっていなかった!! California までは、まだまだある。最後の最後まで楽しまないと!!

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