ミニカーの街、横浜で生まれ育ってしまったWildmanは必然的に元町商店街の「千代田ママストア」に始まり、伊勢佐木町は日活会館の「ビッグボーイ」等のミニカー専門店に通いつめておりましたが、もう一店舗違うお店を探し当ててしまい、人生が今に続く迷走台風と化してしまいました。 ついこの前の1975年、伊勢佐木町にあった玩具店「おもちゃのマリア」で手にしてしまった日本ミニチュアカークラブ発行の「月刊ミニチュアカー」誌を見て、迷走台風から暴走に変わってしまった小学生はその小冊子に載っているお店の広告を見て愕然としました。「ヨコハマにもう1店、ミニカーの専門店があるのをご存知ですか?」というコピーに興奮した小学生は「いいえ、ぜんぜんご存知じゃありません、ここに行きたい、行きたい、行きたいぞ!」と興奮が止まらなくなってしまいました。 ちっちゃな広告にはちっちゃな地図が出ていて、それを見ると横浜市 鶴見区となっております。「なんだ親戚のおばさんの家の近くじゃないかこれなら簡単に行けそうだぞ!」ヤフーかんたん決済のごとく簡単に行って見ようと思いました。 広告によれば鶴見駅より下車7分となっていて、地図を見る限り1分で着きそうな感じだったのですが、実際に行ってみると小学生の足では軽く徒歩10分以上掛かり、このとき下車7分というのは徒歩7分じゃなくバスで7分と理解しなければいけないのだと理解し、この後こういった「徒歩何分」と言うのは一切信用しないと心に誓いました。 やっとたどり着いた「つくの商店街」というまさに昭和の風情の商店街の入り口付近にそのお店はたたずんでおりました。 ちっちゃい広告と同じくちっちゃな店舗でしたが一歩店内に入るとそこは別世界が広がっておりました。新製品のミニカーから旧い絶版ミニカーがショーケースに並び、他にはプラモデル、モデルガンとまさに昭和のホビーショップという品揃えでした。ちっちゃいですけど。 普通の商店街に、こんな変態相手のお店があるというミスマッチがたまりませんでした。ちっちゃいですけど。 そのお店の名前は「チェッカー」といい、昭和の時代からミニカーを集めていた方にはお馴染みのショップでした。 店主のTさんは突然現れた変態小学生の相手をきちんとしてくれて色々と在庫ミニカーの説明をして頂き「なんていい人なんだろう、お気に入りに追加!」となりました。 その後親戚のおばさんの家にわざと寄ってはおこづかいを頂き、そのままチェッカーに直行という、計算しつくされた行動を取るようになり、我ながらその件に関しては多少なりとも反省しております・・・・ちっちゃかったので。でも変態のいいところは決してそのお小遣いを無駄にする事はせず、当然30数年後の現在もその時に頂いたおこづかいで購入したミニカーは全て手元に残っているのです。 このジャガーEタイプは英国Corgi Toys製の1960年代に作られたものですが、ついこの前の75年にチェッカーで購入して以来34年間、私の手元にあるのであります。親や家族よりも長い間いっしょにいる訳なのです、ミニカー最高!! チェッカーはその後80年代に立ち退きか何かの理由で、つくの商店街の長崎屋のテナントに移った後、店主のTさんが病気でお亡くなりになってしまいその歴史を閉じてしまいました。ミニカーコレクションの楽しさを教えてくれたチェッカーが無くなってしまった事はとっても残念でありました。 と、ここまではすでにヨコハマの伝説?となってしまったお店ばかりを紹介してまいりましたが、やっと真打ち登場であります。 話が戻ってしまいますが元町の「千代田ママストア」に通っていた頃、変態小学生の相手をしてくれるお店のお兄さんがおりました。ヒゲをはやしたその方は、小学生が買えそうにないミニカーの解説も丁寧にしてくれて、嬉しいったらありゃしないと言う感じでした。あるときケースの最上段にあるミニカーを指差し「あれ見せてください」と言うとヒゲのお兄さんは冗談なのか本気だったのか、ヒョイと私を持ち上げ「ハイ、見ていいよ」と言われたのには閉口しましたが・・・ 千代田ママストアが元町のお店を閉めてしまった1977年、元町に新たなミニカーショップがオープンしたという情報をキャッチしました。それにしても何でヨコハマにばかり・・・・ 元町商店街を端から端まで探してみてもそのお店は見つかりません。「ガセネタかよ、おい!!」と怒り始めた中学生の変態でしたが、まさかと思い元町の裏通リに入ってみると、なんとまあ可愛らしいお店があるではないですか、そこが5坪からスタートし現在も盛業中のミニカーショップ「サンセット」でありました。 愛車ヤマハ・モトバイクを停めて、店内に入るとそこは全てビンテージの絶版ミニカーばかりが展示されていて完全にノックアウトされてしまいました。見たことも無いようなミニカーがずらりと並び、新譜だったビリー・ジョエルのストレンジャーが流れるお店はとってもオシャレで、それまでのミニカー屋さんとは一線を画しておりました。 「カ、カッコイイゼ、この店、なんかしゃれてるぞ!!」と興奮していましたがふとお店の人を見てみるとあのヒゲのお兄さんが立っているではありませんか。まぎれもない、千代田ママストアのお兄さんだと確信しました。 どーいう事?と思いましたが、千代田で修行?したヒゲのお兄さんは独立して超マニア向けのショップ「サンセット」をオープンさせたのでした。お兄さんの名前は宇野さんといいまして、現在はTVなんでも鑑定団のミニカーの鑑定士もこなしているミニカー界の重鎮となっております。しかも宇野さんのご実家は伝説の御所山Studioのすぐそばというのも何かの縁を感じるのです。 Wildmanはミニカーに関してはこの宇野さんを師と仰ぎ、現在に至っている訳であります。 日本には無かったビンテージ・ミニカーの専門店となったサンセットは独自のルートで海外からレアなミニカーを多数仕入れて、当時のマニアたちを狂喜させたのでした。ネットの無い時代では大変な事だったのですから・・・・・ その後とっても儲かった?サンセットは裏通りの小さな店からオシャレなCafeの2階の店舗へと移り、80年代になってから外人墓地の下にある現在の店舗になったのです。 すでに30年以上の歴史を持つショップとなった訳でありますが、年々営業時間が短くなるというとっても気ままな?お店になり、最近はだいたい3~4時頃から7時までというまさにサンセットと言う店名そのものという営業形態になっております。しかもたまに本当にやってない時があって、お店に行くのはある意味バクチ的なところがありますが、やっていれば嬉しいのでそれも夕暮れ時のサンセット来訪の楽しみなのであります。 いかがですか「ヨコハマたそがれ、ミニカーの街」すでに伝説となったお店から生ける伝説まで実際に横浜に来て味わってみて下さい。本牧Mooneyes Area-1からサンセットさんまではクルマで数分の距離なので、日没までに訪れるスケジュールを組んで来てみて下さい。運が良ければ私もご一緒致しますよ、バクチですが。
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