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Bonneville 2011 Report by SUMI

MOONEYES STAFF SUMI Goes to Bonneville Speed Week 2011!

「なんてこった... こんなはずじゃ...」
2008年8月、 MOONEYES が Chico-san のBonneville での Speed Record 達成で盛り上がる中、 僕は自分の撮影した写真の不甲斐無さに意気消沈していた。 あまりにも自分が観てきた Bonneville Speed Week の世界と自分が撮影した写真が違いすぎた。突き抜けるような青空も近寄りがたいスタート前の真剣なレーサーの眼差しも表現出来ていない。 自分の実 力の無さを痛感した。日に日に忘れるどころかBonneville の塩を傷口になすり続けられるような悔しさが増していく。 次々と出てくる色々な誌面、媒体 で紹介される Bonneville と僕の撮影した Bonneville の違いにますます自分自身に憤りを感じた。

この時、こんなんじゃ駄目だと強く感じた。な〜んとなくで撮影してても、この先、な〜んも自分は変われない。 二度とこんな思いはしたくない、もっ と真剣に撮影について勉強しなければと強く感じたのはこの時期から。失敗して失敗して何を失敗したのか考えて、「あの時、こうすれば良かったの か!!」って感じて、そしてまた失敗して失敗して... それから、USA 在住の方と連絡をとる時は、必ずといっていいほど「いつか、また Bonneville に行きますんで!!」とお約束のように言っていたけど、そうは甘くはないのも百も承知の上。毎日流れる USA のラジオ、Cc で入ってくる英文のメール、そして同じ部署に Steve-san という同僚がいる素晴らしい環境にいるのに全くもって僕の英語力は伸びていかない。妻に少しは英語覚えた?と聞かれても「ノォウェ〜イ」でごまかすしかない。そんな僕にそう簡単にUSAましてBonnevilleに行くチャンスがくるわけがない... のはわかっていたけど、その時が来るまで撮 影だけでも成長せねばと思っていた。

2011年、そんな僕に Bonneville 出張のチャンスが来た!! 別に僕が逆転サヨナラ満塁ホームラン級の活躍をしたからではなく、代打の代打の繰り上がり当選的な感じだったけど、 そんなの関係ない!! 「遂に来ぁー!!」って本牧通りに向かって叫びたくなるくらい膝がガクガク震えた。「3年間で自分自身の何が変わったか確かめてやる!」と行く前から全 開 で強く意識した。

前振りが長くなりましたが、ここからお伝えするのは、MOON Space Agency "PAN"の2011 Bonneville Speed Week トリップ レポート。脱線ばかりで全く参考にならない情報ばかりかもしれません。ただ僕が現地で何を感じて何を観てきたのかを本音でストレートにお伝え出来れば。 ドライバーとしてメカニカル的な解説も解りやすい Chico-san の今年の Bonneville Speed Week レポートは先週アップされているのでこちらをどうぞ

初日 8月10日(水)
3年前とは違い今回は、羽田発の深夜便。通常通り勤務し、 夜、 横浜から30分もかからない羽田空港から飛行機に乗り込む。 仕事終わりでロサンゼルスへ... スマートだ... お洒落だ... 何かデキルサラリーマンみたいだとブツブツ思いながらも、お盆時期という事で満席、 シート はセンターのセンターという状況。それでも熊の冬眠のように眠り続け離陸したのも知らず、起きたのは食事の時間のみ、シートベルトも一回も外さ ず、 着陸の振動で起きたので本当にあっという間だった。 僕のように「何処でも寝れて、何でも美味しく食べれる」人、そんなアナタには深夜便はおす すめです。

二日目 8月11日(木)
朝4時。LAXに着いたのが夜でそこから又寝続けたので全くもって目覚めはいい!! 遂に今日に Bonneville に向けて出発。出発前に Boss から「楽しんでこい!!」 との連絡が入る。楽しい思い出になるかはこれからの自分次第、気を引き締める。 続々と今回の Bonneville に同行する Crew が MOONEYES USA に入ってくる。3年振りの再会の握手、皆さん元気そうで本当に良かった。

夜明け前5時にMOONEYES USA を出発、天気はイマイチだけど、走り続けると雲の隙間から日射しがこぼれ始め、やがて完全な晴天になる。 とにかく何もかもがデカイ。スレ違うトレーラー、ガソリンスタンドで購入するドリンクのボトル、Foot Long サイズのサンドウィッチ、そのサンドウィッチを食べる男性、そして笑い声、全てがデカイ。日本では景色がズドーンと先まで抜けているという事があまりない けどここでは当たり前のように何マイルも先のハイウェイ、山、空を確認出来る。延々と続くたぶん木製の電信柱が気になってしょうがない。かっこい い。次の電信柱までの電線 も日本よりゆるく均等にアーチを永遠と描いていく。

「あの山を超えると見えてくるぞ!!」Yoshi-san の声に一点の方向に釘付けになる。あぁ....見えた.....真っ白の世界が。3年前モーテルに立ち寄ったのとは違い、一気に Bonneville Speedway に向っていく。おぉ... オォ... オォ〜!!... たぶんこんな言葉しか出てこなかったと思う。End of Road から Chico-san は 明日の Race Car の車検の為、 Inspection (車検) エリアに、僕らはピットエリアの確保の為、ピットエリアへ。クルマから降りて3年振りの Bonneville の塩の感触を確かめる。心も重い身体も弾む、この時、僕の瞳は相当キラキラと輝いていたはずだ。

それにしても遅い、Chico-sanが。遅すぎる、何か嫌な予感がする。Chico-san がピットエリアに到着。「いや、クルマを置いていく だけのつも りが Inspector (検査官)がこっちこっちって手招きするから Inspection やってきちゃった」そして笑いを堪えながら僕の方を見て「え?お前写真撮らなくてよかったの?」皆笑う。日も傾き快適な Bonneville 1日目はとても平和に終わった。

カリフォルニア州〜ネバダ州〜ユタ州と合計1,000キロ、 12時間の道のりで僕が観た世界を4分の MOVIE にまとめました。

Roadtrip MOVIE: Santa Fe Springs to Bonneville Salt Flats

3日目 8月12日(金)
本来なら、今日が Inspection (車検)の日なのだが、昨日やってしまったので MOONEYES ピットエリアはゆっくりとしている。ただ Shop はひっきりなしにお客さんが来る。Speed Week 開催中は絶えず Race 関係者、観光者の方々で MOONEYES Shop トレーラーは賑わっている。

ここで 2011 MOONEYES Bonneville Crew を紹介。まずは当然 Chico-san 。僕は USA で Chico-san が Race Car をいじっているか Race をしている姿しか観た事がないので後日、MOONEYES USA のデスクで仕事をしているのを観た時は逆に驚いた。そして Chico-san の愛妻、サンディーさん。いつもクルーの食事の準備をしてくれ、いつも僕の異常な日焼けを心配してくれた。毎朝、サンディーさんから「はい! 今日も薬つけて」と日焼けした肌用の薬をもらい、顔、クビ、腕に塗りまくってから「行ってきます!!」とピットを後にした。あの薬のおかげで最終日まで僕は何とか強い日射しの中走り回れたんだと思う。そして Chico-san の息子、ケン君とノン君。ケン君とは 2008年のボンネビルで会っていたけど二人とも本当に優しかったそして逞しくなっていた。英語がわからない僕をサ ポートしてくれた。そしてチーフクルーのダグ。2008年のエルミラージュ、ボンネビル、そして今回と3回目となる。僕が英語を話せるようになっ たらまずダグに今までの感謝の気持ちをベラベラベラベラと長々と伝えるだろう。言葉は少なく寡黙だけどいつもシャッターチャンスの時に呼んでくれ るような優しさがある。 そしてティムとダーレン。常に僕でも解るような簡単な単語で何かしら笑顔で話しかけてくれる。今回一人で Bonneville を移動、撮影する時間が長かったので一段落した時や水を取りに MOONEYES ピットに帰った時の彼らの笑顔には本当に助けられた。ボブ、フレッドラーセンの甥っ子の友達という彼は今回が初対面だったがレース一走ごとに毎回、真剣な 眼差しで Race Car をクリーンアップしている姿を忘れる事は出来ない。そして最後に Yoshi-san 。もう何するにしてもこの人はすげぇなって思った。朝から晩まで常に笑顔で Shop を切り盛りしてそして誰よりも動いて。頭が上がりません。 MOONEYES USA Manager Bob Family も2日間 Bonneville に滞在しました。

そして今回、ティムが僕の為に用意してくれた最高の相棒がこちら。 Honda Trial 90!! 僕は今回、Chico-san のレースの撮影以外にひとりで色々動くつもりだったけど、とにかく Bonneville はデカイ!! 桁違いに広い。すぐ近くに見えていてもいつまで経っても近づいてこない。歩いて移動していたら前回のように死にそうになって誰かに助けられるのがオチだ。 早速、Yoshi-san がSticker を貼っていく。MOONEYES Special だ。ティムがガソリンを入れる。 「バッチリ!! バッチリ!!」ティムが日本語で話している。Chico-san が 「おぉーいPANクルーの登録に行くぞー。乗ってくかー」と言われたけど「僕はバイクで行きます!」とバイクに跨がる。おぉ、素晴らしい!! これで何処にでも行ける!! 動きまくってやる!! ピットエリアも信じられないくらいの長さと広さ、キック一発、オフィシャル エリアまでChico-san 達の後ろを一人バイクでついていく。突然ピットエリア左前方から男性が出て来て大声で何か叫んでいる。てっきり「頑張れよー」って感じの事を言われてんだ と思って左手を挙げて笑顔で応える。でも男性は真剣に僕に何かを叫んでいる。すると自分の左足首を叩きながら「ここを見ろ!」というようなジェス チャーを 僕にする。 走りながら「え?」と自分の左足を見ると、サイドスタンドを出しっぱなしで結構なスピードで走っていた。危ねぇ!! 完全にすっ転ぶところだった!! 走りながらだったんで、もうだいぶ後ろになってしまったが、今度はさっきよりも大きく左手を振って後ろ向きに「サンキュー!!」と叫んだ。

一人でバイクで移動しているとその先、その先で色々と話しかけられる場面に遭遇する。「Chico のさっきのランはどうだった?」「そのTシャツ は何処で売っている?」「水持ってるか?」「ボンネビルは何回目だ?」「お前の顔日焼けでボロボロだぞ」英語がわからなくても全ての動きを止め、 相手の目を見て、耳に全神経を集めると単語単語は聞き取れる....いや聞き取れているような瞬間が度々ある。

この日、僕はある人に電話をした。その人に Bonneville で会えるのを楽しみにしていたからだ。「どうだ Bonneville は?」「いやぁデカイです」「当たり前だろ」「ところで今何処ら辺にいますか」「え?家だけど」「何やってんすか...」 早く来てくれ!! 聞きたい事が山ほどある!






夜は、前回も行ったカジノが入ったホテルのパーキングでのカーショーを見物に行った。あり得ない台数、雑誌でしか見た事がないようなクルマを目の 前で観れる最高の空間がそこにはあった。




4日目 8月13日(土)
今日から遂にレースが Bonneville Speed Week がスタートする。朝5時には、出発し、夜明け前から Yoshi-san はショップの準備、クルーは Race Car の準備、サンディーサンは皆さんの朝ご飯の準備をしている。朝は全く暑くなく過ごしやすい。そして日の出の景色はハンバなく美しい。

ドライバーズミーティングに参加する為、今回初めてのピットからコースまでの移動だ。もちろんバイクで。Bonneville がどれくらい広いのか、例えばピットから一番近いロングコースのコース1まで片道5マイル。8km。8,000m一直線。直線でいうと本牧の MOONEYES Area-1を出発して鶴見ぐらいまで行ける距離。25m プールだったら320回ターンしないとたどりつかない距離。とにかく真っ直ぐ。 最初自転車で移動 しようと考 えていたけど自転車でも無理。いや一人自転車で移動していたぶっ飛んだ日本人の方がいた。

コース1とコース2の間にある SCTA, BNI のトレーラーの周りには沢山の人がもう集まっている。オフィシャル スタッフがドライバーズミーティングを進行していく。英語がわからないくても彼らのスピーチが実にスムーズで聞いているレース関係者の心を掴んでいる事は わかる。

ライブでのUSA 国歌斉唱が終わると地鳴りのような拍手、指笛、声が聞こえ、そしてスタートラインの一番前方の Race Car のエンジンがスタートする。この瞬間がたまらなく好きだ。さぁ、撮影を始めようと思っていると「テストラン乗って行くか」と Chico-san に言われ、こんな機会はまずないので Chevy Van に飛び乗った。ドライバーズミーティングの後、Race Car でなくても実際のコースをコンディションをチェックする為、テストで走る事が出来る。

この黒いフラッグとフラッグの間を Racer は時速 200マイル以上で突き抜けていくのか!! さっきまでバイクで時速 40マイル出して「はぇ〜」って思っていた自分とは全く世界が違う。

ここからは基本一人で動く。今回僕は何をする為に Bonneville に来たのか。もちろん前回と同じように Chico-san の走りを撮影し、今後使用する広告用の写真の撮影、そしてカタログに掲載する挿絵画像の撮影もする。ただ今回は秋に販売する MOON ILLUSTRATED Vol.8 で特集する記事の取材がメイン。これは直前に決まった事。表紙も含め、記事となる大半のページを制作する。だから失敗は許されない。

が! この日、レースを撮影し始めて3年前と全く同じ状況になった事で焦り始めた。ファインダーから見える景色をそのまま撮影出来ない。ここでしか体験出来ない 猛烈な日射しに完全に自分が何を撮影しているのかわからなくなる。散々日本で「ここはあぁすれば」「こんな時はこうしよう」と失敗から学んだ事が最初、 全く活かせていけなかった。弱気になり、冒険をしてみる度胸もなくなりつつある。バイクで移動中、ひとつひとつ何をどうすればいいのか思い出しながら手は 止めないように心がけた。それにしても暑い!! 汗は出ないが強烈な日射しがどんどん感覚をおかしくさせていく。一人での移動なのでコース 1、 2、 3、 4次から次へと各コースのスタートを見て廻る時、水 だけは絶対に切らさないようにした。Chico-san も初日は、189.280マイル。Chico-san は走り終わった後、表情を見れば聞かなくても何となく結果はわかる。笑顔は少なく、次の Runに向けて忙しそうだった。

自分で思い描いていたようには、なかなかいかない。「Bonneville はそんなに甘くない」昨日電話したある人に言われたのを思い出した。







5日目 8月14日(日)
ボンネビル レース2日目、ピットで水を2本ポケットにねじこみ、とにかくひとりバイクで動きまくる。ピット、コース 1〜4、Chico-san の Run、そしてピットに戻り、食事を頂き、そして又水をポケットに入れられるだけ入れてコースへ向かう。日焼けは太陽にあたっている部分よりも 地面の 真っ白な塩の反射光の方が強く、肌が露出している部分はあっという間に赤くそして黒くなっていく。どうしても辛い時は、仮設トイレの壁の僅かな影に逃 げ込んだ。日射しが痛い。 とにかく早くこの環境に慣れないといけない。Chico-san は 151.396マイル (Turn Out (リタイヤ))、184.938マイル (Turn Out (リタイヤ))、193.190マイル。セッティングを変えながら試行錯誤している。

夕方、コースからピットに帰る時、涙が止まらなくなった。ゴミが入ったんじゃなくて両目が痛い、交代で片目をつぶりながらようやくピットに辿り着 いた。 現地のそのままの色を感じたかったので、意地でもサングラスはかけない!! と普通の眼鏡で動いていたが、完全に目が焼けてしまった。「そんなんじゃ目が開かなくなるぞ!」と言われ移動中だけは日本を出発する当日に頂いたサングラスをかける 事にした。楽だ!! サングラスってすげぇ!! 有り難う Sumiya-san!!

帰り道、「今日は、夜雨らしいよ」と話していたら稲光が見え、強風が吹き始め豪雨に、そしてモーテルの前は池になり、道路は川になった。明日の レースはどうなるんだろうと思っていたらピタリとやみ、虹が Bonneville の方向に大きくかかった。あっという間の出来事だった。虹も現れ たと思ったら消えた。










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