Monologue

大一番の「うっかり八兵衛」

小学生の頃、月曜8時になると父親は必ず水戸黄門を見ていました。

「又かよ、もっと面白い番組あるでしょ~」と思いながらも、ストーリーの途中、バシっと突然柱に突き刺さる赤い風車がついた手裏剣が登場するシーンには毎回痺れていました。

「助さん格さんより断然「弥七」だな~。渋いな~、カッコイイな~」と。子供心に「なぜ天井裏にいるの!!」とは思いながらも口数最小限、サッと現れ淡々と難しい仕事をこなす「風車の弥七」。そんな部分に惹かれていたんだと思います。今でもそんなふうに仕事をしてみたいと思っています。

ついこの前、7月のBlogで「8月に入ったらYokohama Hot Rod Custom Show2015(以下HCS)のポスターが見れるのか~。楽しみだな~」なんて呑気な事を言っていましたが、あっという間にもうお盆です。

皆さんは今、楽しい夏の思い出を作っていると思いますが、僕はそのちょっと前ぐらいからポスター制作という「超巨大遠足のしおり(僕個人の勝手な イメージです)」作りの旅に入っていました。

「あれ?ここのロゴ持ってたっけ、この部分はまだ決まってないか、この企画はイラストを新たに起こすか~、まずはタイトルロゴから作らないと」とブツブツ独り言を言ったり同僚に話しかけながら長~い旅に出るわけです。

2009年よりHCSポスター制作に携わらせていただいておりますが、作り始めの段階から完成が見えているような天才だったら苦労しません。全く完成形というものは見えていない状態からのスタートです。HCS というイベントに来て頂いた事がある方はご存知かもしれませんが、このイベントは同時多発的に色々な事が起きていく1日になります。まずは一つ一つの企画 がこうあって欲しいという妄想からスタートし、それぞれの企画の告知を形に起こしていくような….そんな感じでポスターを制作していきます。

ゲストの写真が届き始めると「今年のゲストもカッコイイな~、突き抜けてんな~スゲ~な~」とときめき、必要な情報を確認しながら「おいおいこれどうなってるの?間に合うの?」というやり取りをしていきながら、僕が所属しているMQQN Space Agency一行が次の宿場町まで苦楽をともに進んでいくような感じです(僕個人の勝手なイメージです)。

当然、ポスターが完成した後のスケジュールも決まっていますので、「ちょっと、こちらの茶屋で団子でも頂きますかね」なんて悠長な事も言ってられません。一人はアメリカに連絡を取り、一人はゲストMotorcycleの写真を超どアップで表示しホイールのスポークを一本 一本抜いていって….。

一つ一つがまとまっていき、全体像が見えてくる時には、俄然やる気も倍増。この段階からShige-sanの確認を取りながら最後の全体的なイメージを作っていきます。プリントした紙を目元まで近づけて見てみたり、壁に貼り付けて遠くから見てみたり。僕はスタッフとしてまだまだ10回目 のHCSですが、Shige-sanにとっては24回目のHCS。ポスターの内容はもちろんの事、目に入った時の印象や感覚の部分も全く妥協はありません。僕が旅の道中、先回りして何気なくそしてさりげなく低くセットしたハードルもShige-sanがバンバン上げていきます。作っては直し、作っては直し、僕のマックのマウスも「弥七」が放った風車手裏剣の如く、グルグルと動き続けていくわけです。

そして遂に昨日の昼過ぎ、ようやく今年のHCSのポスターが完成となりました。ポスター制作の旅も終着、これにて一件落着エンディングを迎えます。

そしてここから本格的に今年のHCS告知の旅がスタートしていきます。

大一番の仕事を終え、完全に「風車の弥七」に成り切った僕が次の旅支度を始めた時、Shige-sanから一本の内線電話で我に返りました。

「おい! 場所と日付が何処にも入っていないぞ!!」

「…………………….」

八兵衛の如く「こいつはうっかりだ!」とはとても言えませんでした。

まさかまさかではありますが、仕切り直してもう一度。

完成でございます。

皆様今年のHCSも何卒よろしくお願いいたします。

町人出身の八兵衛からのお願いでございます。
hcs2015-p++++