Monologue

振り返れば”Cherry Coke” – ”週刊 「1/24 MOON Equipped VW Type2 を作る」#05″

2018年から乗っていた僕の S10 Blazer “Cherry Coke” が、先日新しいオーナー様の元へ旅立ちました。

暑い日は、5割増しで暑く、寒い日は凍結したフロントガラスがいつまでも溶けず、シフターがすっぽ抜け(過去ブログ参照)、半径50mにいる人が皆振り向く程の異音が鳴りはじめ、エンジンを載せ替えてと書き出したら止まらない思い出がある “Cherry Coke” でしたが、突然来るもんですお別れは。あ、カッコつけて”Cherry Coke”なんて言っていますが、自宅では、奥さんがいつの間にか、名付けていた「血豆」って呼び名の方が通じていました。ネーミングが絶妙すぎて “Cherry Coke” って名前が霞みます。

Show Car では全くもってありませんでしたけど、まぁこのクルマは見知らぬ人を振り返らせる星の下にいたクルマだったと思います。

忘れもしない、自宅から乗り込んでエンジンをかけた瞬間にワイパーとウィンドゥウォッシャーが全開になった事もありました。レバーに1mmも触れていないのに、目の前では大騒ぎになっているわけです。これが休みの日なら「参ったな」とか言ってゆっくり対処出来たかもしれませんが、朝の1分も無駄に出来ない通勤タイミングでこれですからね。

しばし自宅敷地内でレバーをやりくりしてみましたが、どうにもこうにもお祭りが終わりそうもありません。でも、こういう時に限って、近所のご婦人がゴミ捨てで目の前を通過するんですよ。「いや〜窓が汚れちゃったなぁ」的な演技で、さも平然を装いましたが、ご婦人が遠いゴミ捨て場にゴミを捨てて、帰ってきても、まだスミさん家の旦那さんは全開で窓を洗ってるんです。

こうなってくると、恥ずかしさから耐えられなくなって、走り出す(逃げ出す)しかないのです。爽やかな快晴の朝に、水を撒き散らし、ゲリラ豪雨中みたいなハイスピードのワイパーのまま、いざ出勤となります。

会社まで6km。会社に着いたらなんとかしよう…。ひょっとして振動で直ったりして! なんて思いながら、散水車みたい。しかし、いざ動き始めたら意外と楽な事に気がつきます。最寄り駅に向かって先を急ぐサラリーマン、学生さん、OLさんの人からしたら僕のクルマが視界に入るのは一瞬です。窓が汚れちゃったから「今だけ」ワイパーとウィンドゥウォッシャーを動かしてますよって顔をしていれば良いのです。そうなってくると、もう恥ずかしくもありません。

住宅街を抜け、大通りに出ます。そして、信号がある交差点で停まります。赤信号の最中、ずっと窓を洗っている事に、同じ信号待ちのドライバーの方達が、次第に違和感を覚え視線を感じますが、僕だけは真っ直ぐ前を向くしかない。こうなったら、少しの汚れも許さない超神経質な人間を演じるしかありません。

会社まであと3km。

最寄り駅に到達する手前のタイミングでウィンドゥウォッシャーの噴水が止まりました。見事にタンク丸ごと一個分のウォッシャー液を無駄に使い果たしました。でもまぁ2個あった迷惑なお祭りのうち、一つが閉幕したんなら良かったかと駅前の一番歩行者が群がる交差点で赤信号に引っかかります。この時ある事に気がつきます。

さっきまでは、窓が汚れちゃったからワイパーとウィンドゥウォッシャーを動かしてますって演じれば良かったのに、もう液は無いのです。誰もいないグラウンドに向かって全開に応援歌歌っているようなもんです。真っ青な快晴の空のもと、全開でワイパーを動かしているクルマが赤信号の先頭で停まっているんです。

いや、何とも思っていない人、気づかない人ばかりなんでしょうけど、僕からしたらもう、どんなスーパーカーよりも視線を感じるんですよ。気が狂ったのかと思われてんじゃないのかなと。

こういう極限の恥ずかしさに人間追い込まれると身体って勝手にうごくんですよ。とっさに窓を全開に開け、オーディオを全開にしたんです無意識に。

実際は、まだ寝起き後の低いテンションのなか、House of Pain の “Jump Around” をウーファーボックスが弾け飛ぶくらいのボリュームでかけはじめました。もう曲なんか何でも良いんです。ただひたすらに首を振ってノリノリのオジサンになるしかないんです。なんかしらのワイパーを動かしている動機が欲しいだけです。でもまぁ今考えるとノリノリになって打楽器的にワイパー動かしている人なんて今まで見た事ないんですけど。

そんな甘酸っぱい思い出もありましたが、本命である Ford Falcon Sedan Delivery “Pantastic” には負けますが、好きな1台でした。
パンチはあるけど、コンパクトで、他にこんな立ち位置のクルマってあまり見ないので、意味もなくクルマの真横に立って眺めていました。

徐々に徐々に快適になっていくのが楽しかったですし、新しいオーナー様もご近所さんで今後、更に快適にされていくそうなので楽しみにしています。

そう、”週刊 「1/24 MOON Equipped VW Type2 を作る」”も少しずつ進めています。

塗っては〜失敗し、削って〜、もうイッチョ塗って〜と牛歩みたいな進み方ですけど、ちょっとでも進めば全てが初の体験なので楽しくなっていきます。

壁にぶち当たったらネコパブリッシング発行 “model cars” 編集長 鵜飼 誠様からのアドバイスメールを読み直し…。

このアドバイスがなかったら、プラモデル用のコンパウンドとか、ポリクロスなんて存在すら知りませんでしたし、出会う事もなかったと思います。

失敗続きの柚子肌 Body も Hard から Fine へ、Fine から Micro と3種類のコンパウンドで研磨していくとちょっとずつ Body に景色が映り込んでいくのわかります。


待ち時間はつい先日発売された「モデル・カーズ・チューニングその十二」を読んでみたり。世の中、凄い人たちがたくさんいます。驚愕ですよ本当に。

「楽しく作るのが一番です」鵜飼様から頂いたお言葉を信じて、今後も進めていきます。

って、やっぱりクルマは真横からの眺めが好きなんだなと今気づきました。そして、仕事以外の撮影は全部 iphone のカメラ機能におまかせ。

完成したらバシッとカメラで撮ろう!!

MOONEYES 広報 Pan スミ