Monologue

きっかけ作り

「いつかコロナ禍前の日常が戻ってくると良いですね」と呪文のように唱えて早2年…

この2ヶ月の自身のイベント絡みの動きをカウントしていくと東海地方5回、関東2回と完全に以前の動きが戻ってきたような気が…いや確実に戻ってきていますねこれは。

僕自身、根本的な部分は出不精の暗い人間ですのでこのような機会がなければ、イベントを体感したり沢山の人とお話しする事は出来ません。有り難い限りです。ご挨拶させていただいた皆様、しっかりお話し出来た皆様、「ちゃんと仕事してる?」と僕が仕事をしていない前提(否定はしません)で暖かい声援をかけてくれた皆様、本当に楽しい時間を有難うございました。無事に本牧に戻ってきております。

イベントも終わり、帰り道のサービスエリアで味わうあの感覚も3年ぶりです。あれですよ、あの湧き上がる高揚感に拳を突き上げたくなるあの感覚です。そう! レジ付近に「赤福」がまだ残っているのを目視出来たあの瞬間です。サービスエリアでエナジードリンクを飲む事より、自分が今「赤福所有者」なんだという誇りの方が、残りの道中の活力になるわけです。横浜に到着した時、「ただいま帰社いたしました。スミ with 赤福」と社内へ一斉送信したいくらいです。

そう、出張といえば、各地でホテルに宿泊するのですが、先日宿泊したホテルが猛烈に優しくて。チェックアウト時「優しさホテル」と一人で名付けていましたが、時と場合によっては厳しくあってほしいと感じたホテルでした。

いや僕は砂漠で野宿であろうと「寝れれば何処でも良い」タイプの人間です。そんな人間も夕食が終わり、ホテルの部屋に戻り、翌日のイベント当日の朝を考えると、すぐシャワーを浴びて歯を磨いて寝ようとします。もう10数年前のように朝までドンチャンして4時半ホテルチェックイン、5時チェックアウトなんて事は出来ません。少しでも万全な体調でイベント本番をむかえたい。なんせ1秒でも早く寝るため、ここから寝るまでの作業は最後の一仕事です。

そんな時、ホテルってすげぇっていつも思うのが、一瞬でお湯が出るあの機能です。水からの徐々に徐々にあったかくなっていく、あの時間が無い! なんせ1秒でも早く寝たいので、理屈は全くわかりませんけど素晴らしいシステムです。で、一瞬で適温になったらカランからシャワーに切り替えますよね?何度もしつこいですが、なんせ1秒でも早く寝たいので頭からバッサーとかぶるのですが、先日宿泊したホテルは違うんです。カランの状態の時、まぁまぁストロングスタイルの水圧でセッティングして目を瞑っていたのですが、信じられないくらい、体感がふわぁ〜って優しいんですよ。夢の中のやっさしい霧みたいな存在感しか感じません。えぇ〜?とおそるおそる目を開けると、シャワーヘッドが馬鹿になってて、信じられないくらい四方八方に広角でお湯が出ているんですよ。シャワーカーテンの方が綺麗になってんじゃないかってぐらい変な方向に、貴重なお湯が流れ出ています。何か詰まってんのかなと、一度止めてですね、シャワーヘッドを指で擦り、もう一度シャワーONにしてみましたが、何も変わらず。広角というか、ほぼ魚眼なんじゃないかぐらいの広範囲にまんべんなくお湯を撒き散らしています。もう改善する気力もなくなります。一喜一憂する時間はありません。いつまでたっても泡切れしない状況を乗り越え、就寝!

翌日3時50分起床! イベント当日の朝です。1秒でもはやく着替えて、歯を磨いて、髪型セットして、トイレ行ったらチェックアウトだ!ってなります。もう昨夜の「優しすぎるシャワー事件」のことなんか頭の片隅から消えかけています。そして、なんの疑いもなくウォシュレットのボタンをON! した瞬間、ふわぁ〜って、数時間前のあの感覚がフラッシュバックしてきたんですよ。もうさすがに、ここは優しくあっちゃダメなところじゃないですか?めちゃくちゃ強くなきゃダメって人間じゃないですよ?ですけど、もう目視無しでお尻丸ごとを均一に洗っているのがわかるくらい広角なソフトな圧を感じるんです。完全に壊れてます。さすがに笑ってしまいました。夜なのか朝なのかわからないぐらいの時間に、一人の暗い人間を微笑ませるって相当な優しさが無けりゃ達成出来ないと思いますが、時と場合によっては厳しくてもいいんですよ、特に水圧は優しすぎると…ね?…わかりますよね…別に神経質じゃないですよ?

….って、今回も役に立つ情報がほぼ無い。違うんです、本題はここからです。

そう、今年も発売を開始したんです。
MQQNEYES International Magazine Summer 2022

同部署のTaxi畑中&河合が3月からコツコツコツコツと2022年度版のコンプリートカタログの制作を進めているのを間近で見ていましたから感慨深いです。同じ部署の人間がイベントで週末不在にしていたり、赤福を買ってニヤニヤしていたり、シャワーと格闘していたり、ウォシュレットで微笑んでいるその時も、二人はコツコツと完成に向けて集中していたわけです。ただただ純粋に僕は、二人を尊敬しています。二人が居たから僕は色々と動く事が出来たんです。ただ、なかなかどうして僕が二人に合流するタイミングは遅く、5/15(日)に開催した Street Car Nationals® が終わった後になりました。今回は巻頭記事と表紙周りの制作を担当しました。

今回の巻頭記事は MOONEYES USA 30周年の内容について Fly Wheels Magazine 及川様が Shige-san にインタビューしていく内容になります。僕自身、広報として入社し16年になりますが、結構知らなかった事がありました。知っていたようで知らなかった世界がまだまだありました。今回の業務とは違う件で、年明けに MOONEYES USA 30周年の企画のお仕事があったのですが、その時は自身の認識が甘かったなぁ…と感じつつ今回の記事制作を進めていった感覚があります。内容的な部分をお話しするとネタバレになりますのでお話し出来ませんが、「そうだったんだ…」と驚きも含めて感じられる部分が今回あると思います。

そして、表紙制作に急遽入る事になったんですが、数年前みたいに2週間かけてピンボールマシンを描く! なんて時間もありません。週末のイベントから戻ってきて、翌週末のイベントに出発するまでに作り始めから完成が達成出来る「何か」を考えるしかありません。

イベント企画でも制作物でも、タイミング関係なく、「やった事ないけど、やってみたい事」という小さな野望は、常に何個か頭のなかにストックしているようにしています。まぁ暗いですから僕は。「出来るかな?出来ないかな?やってみるかな、いや失敗したら危険だな」とぐるぐるぐるぐる妄想はするんです。で、ぐるぐる考えた挙句に、見切り発車でスタートを切ったのが、今回挑戦した「ちぎり絵」で表紙を表現するという考えでした。もう何年も前から「ちぎり絵」をやってみたい気持ちはありました。でも、そもそも「ちぎり絵」を幼少時にやった記憶もございません。でも見た記憶はあるんです。芦屋雁之助さんが山下清さんを演じていた「裸の大将」のドラマは何度となく見た記憶があります。ドラマの後半に山下清さんの実際の作品が出て子供ながらに感動したのは覚えているんです。

やると決めたからには、スタート前にしっかり調べたいのですが、小心者なのでなんか怖い。なので、ざっくりと薄目で「ちぎり絵」と、検索すると「手軽に始められる」なんて紹介されていましたから、シャー!! って俄然やる気がみなぎります。

まず自分の中で、ルールを決めました。ルール設定なんて、また無駄な事してんなー。
1. ハサミは使わない事。指でちぎる事。
2. 出来る限り同じ色を並べない事
3. 白と黒は、使わず別の色で表現する事
4. 実際の本のサイズで作る自信と技術はサラサラないので4倍の大きさでまずは完成を目指す事
これだけです。

ここから完成までは、人差し指と親指の感覚とアラビックヤマト(のり)が僕の全てです。制作開始!!

既にこの時点で、事の重大さに気づき始めています。想定外に進まない…。手軽には始められましたが、完成はいつになるんだろう。そういえば Web では皆んな葉書サイズでつくってたな、調子こいて幅40cm x 高さ80cmなんて無謀すぎたかもしれません。

昼過ぎから始めたのに、とっくに窓の外は暗くなっています。「やめるなら今かな〜、どうしよう…」となりますが、フラッと Shige-san が見に来てくれ「おいおい全然進んでない!! 大丈夫か?」と言われると「ぜんぜん想定内です」って胸張ってるんですよ。


1日目、タイトル文字の部分まで進めて終了。まだ左手にこびりついた糊を気にしている段階です。


2日目。もう後戻り出来ませんので朝から一心不乱に進めていきます。なんとなく指の感覚でカーブと鋭角な部分をちぎって表現出来るようになってきました。左手親指にこびりついている糊も、次に貼り付ける色紙を仮置きしたり活用しはじめています。糊のベタつきが心地よく感じ始めています。

一番楽しみにしていた Eyeshape の白の部分、黒の部分も隣り合う色を考えていきます。


気付いたら、夜もふけ誰もいなくなっているので今日はここまで!!
この時点でまだ手をつけていない細かい文字を表現する部分「int’l magazine」「No.24」「2022 MOONEYES COMPLETE CATALOG」について、自分の「ちぎりスキル」で出来るのかまったく自信がありません。



3日目最終日。今日はお昼の時点でちぎり絵を完成させ、午後から絵の撮影、表紙データを制作、夕方までに全てを完成すれば週末のイベント出発に間に合います。


まずは白い部分を全て埋め尽くします。おぉついに最後のひとかけら…。


なんて感動する時間もなくここから、一番の難関で後回しにしていた各文字情報をちぎり始めます。途中経過の写真を撮る余裕もなくなっていますが、この時が僕の人生の中で、親指と人差し指の感覚が研ぎすまされていたと思います。思うようにちぎれる感覚でした。

そして完成〜間髪いれずに撮影〜ドーン!!

今回は、完成した嬉しさより「カタチになったぁ〜…」と安堵した感覚の方が大きかったかもしれません。

先ほども書きましたが、記事のページで、Fly Wheels 及川様や、Wildman 石井のページ制作に携わって頂いている古内様率いる高速有鉛DXチームの皆様のお力は大きいです。そして、それ以外のページに関して、全て本牧の MOONEYES の中で、スタッフ全員で作っているのがMQQNEYES International Magazine です。商品企画ディビジョンのスタッフの皆んなが企画をして、Area-1, Cafe 部署関係なくモデルとなり、全商品ひとつひとつを営業&Mail Order ディビジョン、経理・総務にあたるディビジョンのスタッフの皆んなが読み合わせ、チェックをして、1ページ1ページが完成していきます。

おそらく、いや絶対にスタッフ全員が、全ページの「非日常の夢の世界」をお客様にお届けしたいという気持ちがこの一冊に入っていると僕は考えています。

だから、なんというか表紙も「日常」ではない事、「非日常」な事で MOONEYES を表現したかったんだと思います。通常の業務だったら絶対にこんな事しません。Photoshop でサラサラ〜と作って終わりかもしれません。

手に取ってもらって、中のページを読んでもらうための「きっかけ」になれば良いんです。なんかわかんないけどワクワク出来る「表紙」であったら良いんです。

皆様、是非「非日常の夢の世界」を MQQNEYES International Magazine Summer 2022 でお楽しみください。

制作業務も終わり、落ち着いた頃、とあるお知り合いの方から連絡が入りました。
「表紙見たよ!! ひょっとして山下清さんの生誕100周年に合わせた?」
「んなわけないです。そうだったんですか?」
「もってんなぁ〜」

いやぁ、去年でもなく、来年でもなく今年「ちぎり絵」に挑戦して良かった!
「ちぎり絵」を作っている最中、ずっと山下清さんの事を考えていましが、知らずに清さんのパワーをもらってたんだなぁ。

MOONEYES 広報 Pan スミ