
これが1977年にスタートした衝撃のギャグ漫画「マカロニほうれん荘」で、当時中学一年生の私は「こんな漫画見たことない!!凄い、凄過ぎる」と感動し、大爆笑しておりました。今も変態Wildmanが認める唯一の天才漫画家であります。分からない人には何を言ってるのかさっぱり分からないと思われますが、勝手に言わせてもらいます・・・
落第高校生の「膝方歳三 ひざかたとしぞう 25歳 通称トシちゃん」、「金藤日陽 きんどうにちよう 40歳 通称きんどーちゃん」の二人と新入生の「沖田総司 おきたそうじ 16歳 通称そうじ」という新撰組のパロディの名を持つ三人のキャラクターが、下宿先のマカロニほうれん荘というアパートで無茶苦茶なストーリーを繰り広げる物語なのですが、あまりにも無茶苦茶過ぎてストーリーはとてもじゃないけど説明出来ません・・・・・



それまでのギャグ漫画の手法になかったスピード感やリアルな描写、唐突に場面が変わって理解不能な世界に突入する作風は、全く新しいスタイルの作品で、当時のおじさまたちは「この漫画は何が面白いのかさっぱりわからない」と評しておりましたが、それほど全てがぶっ飛んでいた作品なのです。絵のセンスも素晴らしく、時代背景の表現も見事で、私はアートとしてこの漫画をとらえておりました。


突然第二次世界大戦のお話になったかと思えばKISSやレッド・ツェッペリン、エアロスミス、矢沢の永ちゃんまでが登場し、鴨川先生はロックに深い造詣があった事も伺えます。車のイラストも車種選択が秀逸でした。
若干二十歳の鴨川先生が描きあげたマカロニほうれん荘は、爆発的な大ヒット作となり、少年チャンピオンの発行部数を伸ばす原動力となって単行本も売れまくりました。
天才漫画家として認められた鴨川つばめ先生は、週刊誌で5本!!!という人間離れした仕事を抱え込む大人気漫画家となって70年代を駆け抜け、一時はギャグ漫画家の頂点に立っておりました。
が、天才ゆえに光っていた部分とは裏腹に、影の部分も多く出始めました。アシスタントも使わず、週刊連載漫画を黙々と描き続け、一切の妥協を許さないで仕上げるスタイルは長く保てるわけがありません・・・・理想を追い求め過ぎて徹夜作業も当たり前となり、食事もまともにとらず描きまくった先生は心身共に疲れ果て、頼んでも連載をやめさせてくれない編集に抗議する形で、最後はマジックインキで適当に描きなぐって、無理やり連載終了という形になり、1979年にマカロニの幕は降りてしまいました。
単行本にして全9巻分です。
唐突な幕切れとなった漫画と共に鴨川つばめ先生は70年代漫画界の伝説となってしまいました。
何度かの小さなカムバックもありましたが、結局最後は消息不明となって全ての接触を断ってしまいました。
その後、先生は皿洗いやソー○ランドの従業員までこなしたそうですが、90年代に消息が分かっても漫画に対する一切のインタビューや接触を断っているそうです。アニメ化や単行本未掲載作品の出版の話があってもすべてNGだということです・・・・天才は徹底しております、変態とはわけが違います。
現在、仙人のような風貌で仙人のような生活を送っている先生は、マカロニ連載最後期の筆を折ってマジックで描きなぐった手抜きの時期の事を今でも後悔し、ずっと罪の意識を持っているようです。
そんなことは気にせずにぜひとももう一度ペンを握って、切れ味鋭い閃光のようなあのギャグ漫画を描いて欲しい物です。
鴨川つばめ先生のファンは沢山います、ぜひとも天才の大復活を変態は望んでおります!!! 最高だぜ、マカロニほうれん荘!!